2024年6月30日日曜日

Qt 5.15 をソースからビルドする

 Qt for Windows - Building from Source-5/windows-building.html

QT SDK の準備

商用ライセンスの Qt を持っています。Qtのインストーラーに目的のバージョンがあります。→ インストーラーからインストールしてください。

オープンライセンスの Qt のインストーラーに目的のバージョンがあります。 → インストーラーからインストールしてください。

※ Visual Studio 2022 でビルドするときは、Visual Studio 2019 の SDK でも大丈夫。

目的のバージョンがインストーラーからインストールできません。→ 商用ライセンスのライセンスファイルを含めてソースコードからビルドします。

目的のバージョンがインストーラーからインストールできません→ オープンソース版としてソースコードからのビルドします。

QT オープンソース版のライセンスについて

GPL か、LGPLv3 ということになります。

GPL の場合、ソースコードを公開してオープンソースコミュニティに貢献する。

LGPL の場合、一定の条件を満たせば、ソースコードを公開する必要はない。
簡単にいうと、EXE を作って配ったり売ったりするならソースコードも公開しないとダメということになります。

特に何もいじることなく

ビルドは成功した。Qt5Core.dll などがあるフォルダにパスを通せば、Linguest.exe やら Designer.exe が動いたのでこれでいいのであろう。
フォルダ構成はARESのビルドで使っているのと大分違う。
バラバラになっている BINフォルダ LIBフォルダ INCLUDEフォルダをひとまとめにする必要はある。以前は、QtビルドするのにPerl入れろだのPython入れろだのなんだの言われて閉口したが、今は美しいな。






2024年6月27日木曜日

緯度経度とCAD座標

 ARESマッププラグインでGEOマップを挿入するとGEODATAオブジェクトが用意されます。

GEODATAオブジェクトが利用可能なときは、transformToLonLatAlt() や transformFromLonLatAlt() で緯度経度とXYの変換が可能です。

#include "stdafx.h"
#include "FXHeaders.h"	// ほとんどのCFxのヘッダが入っている
#include "DbGeoData.h"  // GEODATA オブジェクト

//===========================================================
//  JDTESTCmd Class
//===========================================================
int JDTESTCmd::Execute(CFxCommandContext* pCmdCtx)
{
	CFxDocumentPtr doc = pCmdCtx->GetFxDocument();
	CFxUserIO* io = doc->GetFxUserIO();
	CFxDatabasePtr db = doc->GetFxDatabase();
	CFxString prompt;
	OdResult rt;
	// 座標系が用意できているか
	OdDbObjectId geoid;
	if (oddbGetGeoDataObjId(db, geoid) != eOk)
	{
		io->Write(L"\nNo GEODATA.");
		return RTNORM;
	}
	OdDbGeoDataPtr geodata = geoid.safeOpenObject();
	OdGePoint3d p1;
	OdGePoint3d p2;
	int rc = io->GetPoint(L"\n位置を指定 : ", nullptr, nullptr, &p1);
	if (rc == RTNORM)
	{
		rt = geodata->transformToLonLatAlt(p1, p2);
		prompt.format(L"\n(%f,%f,%f) - (%f,%f,%f) ", p1.x, p1.y, p1.z, p2.x, p2.y, p2.z);
		io->Write(prompt);
		OdError e(rt);
		io->Write(e.description());
	}
	rc = io->GetString(false, L"\n経度,緯度を指定 : ", L"", &prompt);
	if (rc == RTNORM)
	{
		rc = io->GetUnitsFormatter()->StringToPoint(p1, prompt);
		if (rc == RTNORM)
		{
			rt = geodata->transformFromLonLatAlt(p1,p2);
			prompt.format(L"\n(%f,%f,%f) - (%f,%f,%f)", p1.x, p1.y, p1.z, p2.x, p2.y, p2.z);
			io->Write(prompt);
			OdError e(rt);
			io->Write(e.description());
		}
	}
	return RTNORM;
}

transformFromLonLatAlt() の戻り値 XYZ の Z がおかしいとき(緯度の値がそのまま入っていることがある)は無視してください。

緯度経度とCAD座標

ARES マッププラグインは、ESRIやTeigaのマップソリューションを利用しています。

C#のカスタムアプリケーションから緯度経度からCAD座標への相互変換を利用する方法を紹介します。

マッププラグインのGEOマップを有効にして

GEODATA オブジェクトを図面に挿入し、座標変換を利用可能にします。

C++ではGEODATAクラスの座標変換APIが利用できますが、ARESのC#にはGEODATAクラスがありませんでした。しかしPOSITIONMARKER図形クラスはあるのでそれを使って座標変換します。

このプログラムは、POSITIONMARKER 図形を図面に追加して、緯度経度を読み取ったり、緯度経度を設定してXY値を読み取っています。

using Teigha.ApplicationServices;
using Teigha.DatabaseServices;
using Teigha.EditorInput;
using Teigha.Geometry;
using Teigha.Runtime;
using CADException = Teigha.Runtime.Exception;

namespace geodata
{
    public class Class1
    {
        [CommandMethod("TESTCS")]
        public void cmdTestCS()
        {
            var doc = Application.DocumentManager.MdiActiveDocument;
            var ed = doc.Editor;
            var db = doc.Database;
            try
            {
                var id = db.GeoDataObject;
                ed.WriteMessage("\nGEODATA [{0}]", id.Handle.ToString());
            }
            catch (CADException)
            {
                ed.WriteMessage("\nNo GEODATA.");
                return;
            }
            var ret = ed.GetPoint("Specify location");
            if(ret.Status != PromptStatus.OK )
            {
                return;
            }
            var model = db.CurrentSpaceId.GetObject(OpenMode.ForWrite) as BlockTableRecord;
            GeoPositionMarker marker = new GeoPositionMarker();
            marker.Position = ret.Value;
            model.AppendEntity(marker);
            Point3d rts = marker.GeoPosition;
            ed.WriteMessage("\n{0} -> {1}", ret.Value, rts);
            var ret2 = ed.GetString("経度,緯度を入力");
            if (ret2.Status == PromptStatus.OK)
            {
                string text = ret2.StringResult;
                int len = text.IndexOf(",");
                double lon = System.Convert.ToDouble(text.Substring(0, len));
                double lat = System.Convert.ToDouble(text.Substring(len + 1));
                Point3d geo = new Point3d(lon,lat,0);
                marker.GeoPosition = geo;
                rts = marker.Position;
                ed.WriteMessage("\n{0} -> {1}", geo, rts);
            }
            marker.Erase();
        }
    }
}

緯度経度からXYZに変換したときに、 Z がおかしいとき(緯度の値がそのまま入っていることがある)は無視してください。

実行結果

: TESTCS
GEODATA [10E]
Specify location: »
(15086629.5460905,4121448.60999969,0) -> (135.525499071023,34.6871623638417,0)
経度,緯度を入力: » 135.5255,34.6871
(135.5255,34.6871,0) -> (15086629.6495038,4121440.16715828,34.6871)


2024年6月18日火曜日

コマンドの横取り

 ARESのログファイルは実行したコマンド名しか記録しません。コマンド履歴ウィンドウの内容を取得する方法があれば便利です。

カスタムコマンドを CFx (C++)で作成してみました。

準備

  1. 信頼できるフォルダに TeeCommand_24.7_17.tx を置いてください。
  2. アドインとしてアプリケーションを追加します。

使い方

  1. TEEコマンドを実行します。
  2. 実行するファイル名を指定します。
  3. 出力先のファイル名を指定します。そのままでよければEnterを押します。
  4. コマンドが実行され、正常終了、キャンセルに関わらず、コマンドの出力内容がファイルに出力されます。

プログラムの説明

teecommand.h

class TeeCommand : public CFxCommand, CFxOutputDevice
{
public:
	virtual const OdString groupName() const { return "TEE_GROUP_NAME"; }
	virtual const OdString globalName() const { return "_TEE"; }
	virtual const OdString localName() const { return "TEE"; }
	virtual int Execute(CFxCommandContext* pCmdCtx);

	virtual void CommandOutput(const CFxString& message, const CFxDocument* document);
	virtual void SystemOutput(const CFxString& message, const CFxDocument* document);

protected:
	TeeCommand(void) {}
	~TeeCommand(void) {}
private:
	//QString getCoordinates(const OdGePoint3dArray& inp);
	QStringList m_output;
	int m_prec;
};

teecommand.cpp

void TeeCommand::CommandOutput(const CFxString& message, const CFxDocument* document)
{
    m_output.append(message);
}

void TeeCommand::SystemOutput(const CFxString& message, const CFxDocument* document)
{
    //m_output.append(message);
}

int TeeCommand::Execute(CFxCommandContext* pCmdCtx)
{
    CFxHostAppServicesPtr svc = GetFxSystemServices()->GetHostAppServices();
    CFxDocumentPtr doc = pCmdCtx->GetFxDocument();
    CFxDatabasePtr db = doc->GetFxDatabase();
    CFxUserIO* io = doc->GetFxUserIO();
    m_output.clear();
    // Specify command.
    CFxString command;
    CFxString prompt = io->GetPrompt(L"Command name");
    int rc = io->GetString(false, prompt, L"", &command);
    if (rc != RTNORM)
        return RTNORM;
    // Specify filename.
    QFileInfo fi;
    if (db->getDWGTITLED())
    {
        fi.setFile(QString::fromUtf16(db->getFilename().c_str()));
    }
    else
    {
        fi.setFile(
            QString::fromUtf16(svc->getMYDOCUMENTSPREFIX().c_str()),
            QString::fromUtf16(db->getDWGNAME().c_str())
        );
    }   
    CFxString inputname = QString("%1/%2.txt").arg(fi.absolutePath()).arg(fi.completeBaseName());
    CFxString filename;
    prompt = io->GetPromptString(L"File name", &inputname);
    rc = io->GetString(true, prompt, inputname, &filename);
    if (rc != RTNORM)
        return RTNORM;
    // Run command
    GetFxSystemServices()->AddOutputDevice(this);
    OdResBufPtr cmd = OdResBuf::newRb(OdResBuf::kRtString, command.wide_strU());
    GetFxSystemServices()->SendStringToExecute(nullptr, cmd);
    GetFxSystemServices()->RemoveOutputDevice(this);
    // Write file
    QFile fOut(filename);
    if (fOut.open(QFile::WriteOnly | QFile::Text)) 
    {
        QTextStream s(&fOut);
        s.setCodec("shift-jis");
        for (int i = 0; i < m_output.size(); ++i)
        {
            s << m_output.at(i);
        }
        s.flush();
        fOut.close();
    }
    else 
    {
        io->Write(L"File open error.\n");
    }
    return RTNORM;
}
  • 最初の GetString( )でコマンド名を入力します。最初の引数が false なのでスペースで入力が終了します。
  • Qt のQFileInfo クラスはディレクトリ、ファイル、拡張子を処理するのに便利なクラスです。
  • 保存済みの図面の場合は CFxDatabase::getFilename() にDWGファイルの完全パスがあるのでそれを使い、未保存の図面の場合はシステム変数 MYDOCUMENTPREFIX と DWGNAME からファイル名を生成します。
  • 最初の GetString( )でファイル名を入力します。最初の引数が true なのでEnterで入力が終了し、ファイル名にスペースを含めることが可能です。
  • AddOutputDevice() でコマンド出力内容の横取りが開始します。
  • SendStringToExecute() でコマンドをただちに実行して、終了まで待ちます。リザルトバッファにコマンドの追加の引数が指定できますが、足りない場合はユーザー入力待ちになります。
  • RemoveOutputDevice() でコマンド出力内容の横取りを終了します。
  • Qtの QFile クラス、QTextStream クラスによってテキストファイルを出力しています。setCodec() によって出力する文字コードをシフトJIS (日本語)に切り替えています。setCodec() がないとユニコード(UTF-8)での出力になります。
  • コマンド出力内容を横取りするためには、CFxOutputDevice クラスを継承する必要があります。TEE コマンドは、CFxCommand と CFxOutputDevice クラスを継承しているのでコマンド出力内容を横取りできるコマンドになります。
  • CFxOutputDevice クラスを継承すると、commandOutput() と systemOutput() を実装する必要があります。今回システムからの出力は不要なので、commandOutput() が呼び出されたら、m_output に文字列をためるようにします。

ARESのコマンド履歴ウィンドウやコマンドプロンプトウィンドウはQtのウィジェットになっているので text() で内容を取ってくることは可能なのですが、コマンド出力内容が更新されるのは ARES のタイミング次第なので、text() ではうまくいきません。CFx APIに提供されている CFxOutputDevice クラスを利用することで確実にコマンド出力内容を横取りすることができます。

2024年6月10日月曜日

案外覚えやすいDXFのグループコード

 案外覚えやすい、DXFのグループコード。行ってみよう。

基本

0  データ種類{DXF名)

1 文字データ

2 名前(ブロック名など)

3 コメント、追加の文字データ

5 図形ハンドル

6 線種名

7 スタイル名(文字設定)

8 画層名

9 システム変数名

10 座標値

38 高度

39 厚さ

40 実数値(円の半径等)

50 角度値(円弧の開始角等)

60 図形非表示

62 図形色

70 整数値(画層のフラグ等)

90 長整数値

100 クラス名

102 リアクター等の目印

210 押し出し方向

420 フルカラー

430 色名

999 コメント(DXFファイルのみ)

1000 拡張データ 文字データ

1001 学長データID

1002 カツコ

1003 画像名

1005 ハンドル(ソフトリンク)

1010 座標

1040 実数

1070 整数

画層や線種といった各種図形に共通のプロパティは覚えておいて損はない。

図形などデータベースオブジェクトをDXFファイルやリスト形式で表現するほか、図形の選択条件式としても使います。それはLISP以外でも使います。VBAしかり、c++しかり、.NETでも使います。


ARESからPowerShellのInvoke-WebRequest を使って適当にファイルをダウンロードしてくる

何このアタオカな処理はって感じですが... 

: SHELL

OS コマンドを指定» powershell.exe Invoke-WebRequest -uri "https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/std/1/1/0.png" -outfile "c:\temp\std~1~1~0.png"

ARESのSHELLコマンドってのが、コマンドプロンプトへの1行分の処理を行って終了を待って戻ってきます。コマンドプロンプトに powershell.exe とするので PowerShell を1行実行です。ここではInvoke-WebRequest というコマンドレットの実行だけなので引数に処理を全部書いちゃいます。 -Uri ダウンロードするファイル -Outfile 出力先 で行けます。

そこそこ早かったです。

(2024/06/11 追記)

スペースを含むパスを引数にしたいときには、シングルクォートで囲う。

: SHELL

OS コマンドを指定» powershell.exe Invoke-WebRequest -uri ’https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/std/1/1/0.png' -outfile  'C:\Users\cadkh\AppData\Local\Temp\ARES Commander Edition_temp\std~0~0~0.png'

盲点であった。


線の太さを一括で変更できますか

線の太さを一括で変更できますか では、図形をポリラインに変換して任意の線の太さを指定する方法が説明されている。

いくつかの決まった値しか指定できないが、図形の線の太さプロパティを変更することでも、線を太くすることは可能である。

  1. システム変数 LWDISPLAY を 1 (オン)にして線の太さを画面で表示させる
  2. 図形を複数選んで、プロパティウィンドウで線の太さを変更する

線の太さを非表示(LWDISPLAY=0)
線の太さを表示(LWDISPLAY=1)

図形のプロパティから、ByBlock, ByLayer, 0.00ミリから2.11ミリまでの線の太さを選択できる。

コマンドラインなら CHPROP [図形のプロパティ]コマンドでも可能。
複数図形を選択し、LW (線の太さ)オプションを選んで新しい線の太さの値を指定する。
コマンドラインからは、システム変数 LWUNITS (線の太さの単位)に従って、ミリメートル単位またはインチ単位で新しい線の太さを指定する。


画層状態管理をLISPで

 画層設定を保存し、別の図面で読み込む方法

LAYER[画層設定]コマンドでは画層の新規作成、設定の変更、削除を行える。

複数の画層のフリーズやロックや色の設定をまとめて保存、復元する画層状態管理という機能がある。


図面に保存した画層状態を拡張子.lasのテキストファイルに出力し他の図面に読み込むことで、画層の設定を他の図面に適用できる。

現在の画層状態を保存 

(layerstate-save  name flag [viewport])
現在の画層状態を name という名前で保存する。
フラグ flag はどのプロパティを保存するかビット和で指定する。
オプションのビューポート viewport の図形名を指定すると、指定したビューポートの画層設定を保存する。

フラグの意味

1 表示/非表示 設定
2 フリーズ 設定
4 ロック 設定
8 印刷 設定
16 ビューポート フリーズ初期設定
32 線色
64 線種
128 線幅 

(layerstate-save "test" 255) は画層のすべての設定を test という名前で保存する。

現在の画層状態を復元 

(layerstate-restore  name [viewport flag])
画層状態 name を図面に復元する。
オプションのビューポート viewport の図形名を指定すると、指定したビューポートの画層優先設定をして復元する。
復元フラグ flag は画層状態に含まれていない画層をどう処理するかを指定する。

復元フラグの意味

1 含まれていない画層は非表示にする
2 含まれていない画層はフリーズにする
4 ビューポートの優先設定にする

(layerstate-restore "test") で画層状態 test を図面に復元する

現在の画層状態を書き出し 

(layerstate-export name file)
画層状態 name をテキストファイル file に書き出す。
書き出されたファイルは、他の図面の画層設定に流用できる。
(layerstate-export "test" "c:/temp/test.las") で c:\temp\test.las ファイルを作成する。

現在の画層状態を読み込み 

(layerstate-import file)
画層状態テキストファイル file を図面に読み込む。
画層状態名は file の2番目のデータに含まれる。
(layerstate-import "c:/temp/test.las") で c:\temp\test.las ファイルを読み込む。
設定が図面に取り込まれるだけで、その復元には (layerstate-restore) の呼び出しが必要。


2024年6月6日木曜日

ポリラインの幅をゼロにする

(IJCADヘルプセンター)ポリラインが太く表示される場合はどうすればよいですか

選択したポリラインの幅をゼロにするには次のコマンドを作ればよい。

;; ポリラインの線幅を0にする
(defun C:PLZERO ( / ss i n obj)
  (if (setq ss (ssget '((0 . "LWPOLYLINE,POLYLINE"))))
    (progn
      (setq i 0 n (sslength ss))
      (while (< i n )
        (setq obj (vlax-ename->vla-object (ssname ss i)))
        (vla-put-ConstantWidth obj 0.0)
        (setq i (1+ i) obj nil)
      )
      (setq ss nil)
    )
  )
)

(ssget)で複数図形選択対話、(sslength)で選択した図形数を取得して、while ループを回して(ssname)で番号指定で図形名を取得するというのが複数図形を処理する鉄板です。覚えてね。

(vlax-ename->vla-object)でオブジェクトとして取得して、ConstantWidth プロパティを 0.0 に設定することによりポリラインのグローバル幅を0にしています。これだけ。

図形リストでやろうとすると大変

図形リストバージョン次の通りになります。わかりやすくするために3つの部分に分けました。
;; 図形リストを使ってポリラインの線幅を0にする
(defun C:PLZERO_EL ( / ss i n el)
  (if (setq ss (ssget '((0 . "LWPOLYLINE,POLYLINE"))))
    (progn
      (setq i 0 n (sslength ss))
      (while (< i n )
        (setq el (entget (ssname ss i)))
        (if (= "LWPOLYLINE" (cdr (assoc 0 el)))
          (plzero0 el)
          (plzero1 el)
        )
        (setq i (1+ i))
      )
      (setq ss nil)
    )
  )
)

;; ライトウェイトポリラインの線幅を0にする
(defun plzero0 ( el / nl )
  (if (assoc 43 el)
    ;グローバル幅(43)があればそれを変える
    (entmod (subst (cons 43 0.0)(assoc 43 el) el))
    ;開始幅、終了幅を全部0にする必要がある
    (progn
      (while el
        (if (or (= 40 (caar el))(= 41 (caar el)))
          (setq nl (cons (cons (caar el) 0.0) nl))
          (setq nl (cons (car el) nl))
        )
        (setq el (cdr el))
      )
      (entmod (reverse nl))
    )
  )
)

;; ヘビーウェイトポリラインの線幅を0にする
(defun plzero1 ( el / )
  ;図形リストは POLYLINE,複数のVERTEX,SEQEND
  (while (/= "SEQEND" (cdr (assoc 0 el)))
    ;開始幅(40)と終了幅(41)を0にする
    (if (assoc 40 el)
      (setq el (subst (cons 40 0.0)(assoc 40 el) el))
    )
    (if (assoc 41 el)
      (setq el (subst (cons 41 0.0)(assoc 41 el) el))
    )
    ;リストを更新
    (entmod el)
    ;次の従属図形の図形リストを取得する
    (setq el (entget (entnext (cdr (assoc -1 el)))))
  )
)

コマンドの部分では、(vlax-ename->vla-object)が(entget)に変わって図形リストを取得している部分と、図形種類(0)がライトウェイトポリライン "LWPOLYLINE" かどうかで進む関数が分岐している部分が違います。

ライトウェイトポリラインの変更ではグローバル幅(43)が設定されている場合は、グローバル幅を変更するだけでよいのですが、グローバル幅が設定されていない場合は、図形リストから複数存在する開始幅(40)と終了幅(41)を検出して0.0に変更する必要があります。

ヘビーウエイトポリラインの変更では、主図形のポリライン図形(POLYLINE)と、従属図形の頂点図形(VERTEX)の開始幅(40)と終了幅(41)を0.0に変更する必要があります。頂点図形を変更するために従属図形の終了マーカー(SEQEND)を検出するwhileループが必要です。

このように、図形種類によって図形リストが大きく変化する場合、オブジェクトを扱ったほうがわかりやすくなります。


ARESのトリニティ(三位一体)

 ARESのトリニティ戦略、どこがトリニティなんでしょう。 まずはデスクトップCADが、WindowsにもMacにもLinux版もあるというトリニティ。 デスクトップCADと、モバイルCAD(ARES Touch)と、ブラウザとサーバーCAD(ARES Kudo)のトリニティ。 ...